試合の後半、脚が重くなったり、足がつったりする。そんな経験がある選手は、水分補給を「喉が渇いたら飲むもの」で終わらせていないだろうか。
私は体重約90kgで、80分間の試合を戦っている。試合後に体重を量ると、平均で約2.3kg減る。体重90kgに対して約2.6%の減少だ。
だからこそ、試合当日は起床から試合開始までに2〜3Lをこまめに飲み、試合中は飲めるタイミングを逃さず、試合後2時間で2Lをひとつの目安に戻すことを続けている。
この記事では、競技歴23年・プロ8年の私が実際に行っている、試合前・試合中・試合後の水分補給をすべて公開する。
先に一番伝えたいこと
アスリートにとって、水はトレーニングと同じくらい大事だ。ただし、私の2〜3Lという量をそのまま真似するのではなく、体格・発汗量・気温・競技時間に合わせて自分の量を見つけてほしい。
【結論】私の80分間の試合における水分補給
| タイミング | 実際に飲む量 | 意識していること |
|---|---|---|
| 起床〜試合開始 | 合計2〜3L | 一気に飲まず、少量ずつ。基本は水 |
| 試合直前 | 少量 | 直前までこまめに飲む |
| ウォーターブレイク | 3口ほど | 短い時間でも必ず口にする |
| ハーフタイム | 約250ml | 胃を重くしない量に抑える |
| 試合後2時間 | 2Lを意識 | 水に加えてDNS R.E.D.も使う |
大切なのは、試合直前に慌てて大量に飲むことではない。起きてから試合が始まるまで、体の中に少しずつ水分を入れ続けることだ。
試合前|起床から2〜3Lを「こまめに」入れる
試合前は、起床してからキックオフまでに合計2〜3Lを飲む。主役は水だ。私は普段からコントレックスを飲んでいるので、試合当日も基本の水分として使っている。
ただし、2〜3Lを一気に流し込むわけではない。ボトルを近くに置き、数口ずつ飲み続ける。直前まで飲むが、胃が重くなるほどは入れない。
- 起床したら給水を始める
- 移動中もボトルを手元に置く
- 喉が渇く前から数口ずつ飲む
- 試合直前も少量にとどめる
一気飲みをすると、私の場合は体が重く感じる。たくさん飲んだという安心感はあっても、プレーしにくくなれば本末転倒だ。量と同じくらい、どう分けて飲むかを大切にしている。
なお、私の2〜3Lは、体重約90kgで汗を多くかく競技を続けてきた中で定着した量だ。小柄な選手や発汗量の少ない人まで、同じ量が必要とは限らない。過剰な水分摂取は低ナトリウム血症につながることがあるため、「多ければ多いほどいい」ではない。
試合中|飲める回数が少ないから、一度の量を欲張らない
80分間の試合中、自由に給水できるわけではない。私が飲むのは主にウォーターブレイクとハーフタイムだ。
ウォーターブレイクは3口ほど
ウォーターブレイクでは、3口ほどを目安にしている。短い休止時間に大量に飲もうとすると、呼吸が整わず、再開後にお腹が揺れる感覚も出やすいからだ。
ハーフタイムは約250ml
ハーフタイムは約250ml。ここでも一気に大量に入れるのではなく、呼吸を整えながら飲む。後半開始時に胃の重さを残さず、それでも失った水分を少しでも補う。そのバランスを取った結果が、今の量だ。
夏場は明らかに汗の量が増えるため、試合前から普段より多めに取る。試合中は給水できる機会自体が限られるので、暑い日は特に試合が始まる前の準備が重要になる。
試合後|2時間で2Lを意識し、その後も回復を続ける
試合後は2時間で2Lを飲むことを意識している。理由は明確で、私の場合、1試合で平均約2.3kgも体重が落ちるからだ。
2Lは「そこで回復完了」という意味ではない。最初の2時間で戻すための実践上の目安だ。その後も食事と水分を取り、翌日の練習や回復に残さないようにする。
早い再水和が必要な場合、スポーツ栄養の資料では、減った体重1kgあたり約1.5Lを数時間かけて補う考え方がある。仮に2.3kgをすべて水分不足とみなすなら約3.45Lだ。ただし、短時間の体重変化には飲食量や排尿なども影響する。私は2Lを最初の2時間で取り、残りは体調・食事・その後の体重を見ながら補っている。
平均2.3kg減は、体重90kgの約2.6%
計算は次の通りだ。
2.3kg ÷ 90kg × 100 = 約2.6%
NATA(全米アスレティックトレーナーズ協会)のポジションステートメントでは、運動中の体重減少を2%以下に抑え、開始時より体重が増えるほど飲み過ぎないことが一つの目安とされている。
つまり、私の平均2.6%減は「かなり汗をかくから仕方ない」で済ませず、今後も改善を続けるべき数字だ。試合中に飲める機会が限られる競技だからこそ、試合前の状態と試合後の戻し方まで含めて考えている。
自分の発汗量を調べる計算式
自分専用の補給量を作るなら、まず練習前後で次を記録してほしい。
推定発汗量 = 運動前体重 − 運動後体重 + 運動中に飲んだ量 − 排尿量
1時間あたりの推定発汗量 = 推定発汗量 ÷ 運動時間
体重1kgの変化を、おおよそ水分1Lとして考える方法だ。毎回まったく同じにはならない。気温、湿度、強度、ウェア、体調で変わるため、暑い日と涼しい日の両方で測ることが重要だ。
私が試合日に使っている4つ
1.コントレックス|水分補給の土台
基本は水で、私はコントレックスを選んでいる。コントレックスは硬度約1,468mg/Lの超硬水で、100mlあたりカルシウム46.8mg、マグネシウム7.45mgを含む。
大学までは足がつることに悩まされていたが、コントレックスに変えてからはなくなった。これはあくまで私自身の経験であり、コントレックスだけが理由だったと証明できるものではない。それでも、長く続けたうえで今の自分に合っていると感じている。
詳しい使用感や飲み続けている理由は、プロアスリートが実践|競技人生が変わる“魔法の水”コントレックスでまとめている。
2.DNS R.E.D.|試合前後の糖質・ミネラル補給
試合前と試合後は、水だけでなくDNS R.E.D.も合わせて飲む。私が使っているのは500mlのペットボトルタイプだ。開けてそのまま飲めるため、試合会場にも持っていきやすい。
公式情報では、ペットボトル1本(500ml)に炭水化物12.9g、たんぱく質2.5g、食塩相当量0.5g、カリウム・カルシウム・マグネシウムなどが含まれている。水分だけでなく、試合で消耗する糖質やミネラルも一緒に補いたいときに使いやすいと感じている。
3.アミノバイタル プロ|試合日のコンディショニング補助
試合日の補助として、味の素のアミノバイタル プロも使っている。公式情報では1本にアミノ酸3,800mgと8種類のビタミンを配合。水分補給そのものの代わりではなく、試合日のコンディショニングを支える補助という位置づけだ。
4.MG-LIPO(マグリポ)|マグネシウムを補う選択肢
マグネシウムを補う目的で、MG-LIPO(マグリポ)も取り入れている。基本はコントレックスや食事から取り、これはあくまで補助だ。
ここは誤解のないように書く。足つりは疲労、運動強度、暑熱、過去の発症歴など複数の要因が関係し、マグネシウムを飲めば足つりや肉離れを防げると断定できる根拠はない。私にとってはコンディショニングを整えるための一つの習慣であり、治療や予防を保証するものではない。
夏と冬で同じ量にしない
夏場の方が確実に汗をかくため、私は水分量を増やす。気温だけでなく、湿度が高い日も汗が蒸発しにくく、体に熱がこもりやすくなる。
- 暑い日:試合前から量と回数を増やし、飲める機会を逃さない
- 涼しい日:夏と同量を機械的に飲まず、体重変化と喉の渇きを確認する
- 共通:開始前より体重が増えるほどの飲み過ぎは避ける
頭痛、吐き気、強いだるさ、判断力の低下などがある場合は、脱水だけでなく熱中症や水分の取り過ぎも考えられる。無理に競技を続けず、現場のトレーナーや医療スタッフに判断を仰いでほしい。
自分専用の水分補給プランを作る5ステップ
- 練習前後の体重を量る
同じ服装、同じ体重計で記録する。 - 運動中に飲んだ量を記録する
ボトルの減りを見れば、おおよその量が分かる。 - 1時間あたりの推定発汗量を出す
暑い日と涼しい日で分けて記録する。 - 胃が重くならない1回量を探す
本番で初めて試さず、練習で確認する。 - 試合後の体重と翌朝の状態で修正する
一度決めて終わりではなく、季節やコンディションに合わせる。
日常の水分量については、なぜ私は毎日6Lの水を飲むのか、水分と疲れにくさの関係は疲れにくい体をつくる水分補給も参考にしてほしい。
よくある質問
試合前に2〜3L飲めば誰にでも足りるのか?
結論、誰にでも足りるわけではない。これは体重約90kgで発汗量の多い私の実例だ。体格、気温、競技時間、発汗量、飲水への耐性で必要量は変わる。まずは練習前後の体重を測ってほしい。
水だけで問題ないのか?
短時間・涼しい環境・発汗量が少ない場合は、水と普段の食事で足りることもある。一方、1時間を超える高強度運動や暑い環境、多量発汗では、ナトリウムなどの電解質や糖質を含む飲料も選択肢になる。
試合後は2Lを一気に飲むのか?
飲まない。試合前と同じで、2時間ほどかけてこまめに飲む。一気飲みは胃の重さにつながり、体も受け付けにくいからだ。
マグネシウムを取れば足はつらなくなるのか?
そうとは言い切れない。足つりの原因は一つではなく、疲労や運動強度なども関わる。不足を補うことは大切だが、サプリメントだけに頼らず、トレーニング負荷、睡眠、食事、水分・電解質をまとめて見直す必要がある。
まとめ|水分補給も「自分専用」にする
- 私は起床から試合前までに2〜3Lを少量ずつ飲む
- ウォーターブレイクは3口、ハーフタイムは約250ml
- 試合後2時間で2Lを意識し、その後も食事と水分で戻す
- 80分で平均2.3kg、体重の約2.6%落ちる
- 量は真似せず、試合前後の体重から自分の発汗量を調べる
- 夏は増やすが、飲み過ぎで体重を増やさない
大学までは足がつることに悩んでいた。そこから水の種類、飲む量、タイミングまで見直し、今の形にたどり着いた。
アスリートにとって、水はトレーニングと同じくらい大事だ。
筋トレや技術練習にはこだわるのに、水分補給は何となくで終わらせる。それではもったいない。まず次の練習で、運動前後の体重と飲んだ量を記録するところから始めてほしい。
試合前全体の準備を見直したい方は、試合前48時間に私が行っている準備も続けて読んでほしい。
参考資料
- National Athletic Trainers’ Association:Fluid Replacement for the Physically Active
- IOC consensus statement on recommendations and regulations for sport events in the heat
- Contrex公式:よくある質問
- DNS公式:R.E.D.(500mlペットボトル)
- 味の素公式:アミノバイタル プロ
- Cochrane Review:Magnesium for skeletal muscle cramps
※本記事は筆者個人の競技経験と公表資料をもとにした一般的な情報だ。体調、既往歴、服薬状況によって適切な水分・電解質量は異なる。持病がある方、症状が続く方は医師や管理栄養士、アスレティックトレーナーに相談してほしい。


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