ベンチプレス・スクワット・懸垂。 この3種目は筋肉をつけるためのトレーニングではなく、 動ける体を作るための技術だった。
プロとして長年積み上げてきた中で、 重量よりもフォームの質がすべてを決めることに気づいた。 ここでは、3種目のフォームを図解とともに深掘りする。
1. ベンチプレス|肩甲骨で支える“押す力”
ベンチプレスは胸の筋肉を使う種目ではなく、 肩甲骨を支点にして全身で押す技術だった。
- 肩甲骨を寄せて背中をベンチに固定する
- バー軌道は乳首ラインが最も力を伝えやすかった
- 足の踏ん張りを強めて全身を安定させる
肩甲骨の内転によって胸が自然に開き、 バーの軌道が安定する。 押す力は胸ではなく、肩甲骨から生まれる支点の安定だった。
2. スクワット|足裏3点で支える“支える力”
スクワットは「しゃがむ種目」ではなく、 重心をコントロールする種目だった。
- 足幅は広め(股関節の可動域に合わせる)
- 深さはパラレルが最も効率的だった
- 重心はかかと寄りで安定させる
足裏の3点(母指球・小指球・かかと)で床を掴む感覚が重要だった。 220kgを支えるには、重心がわずかに後ろ寄りであることが必要だった。 フォームの安定が、動作の安定を生む。
3. 加重懸垂|背中で引く“引く力”
懸垂は腕で引く種目ではなく、 背中で引く技術だった。
- 体重90kg+加重48kg
- クローズアンダーグリップ
- 反動なし(ノンキップ)
- 背中で引く意識
肩甲骨の下制と背中の収縮で体を引き上げる。 腕ではなく背中で動かすことで、動作の再現性が高まった。 このフォームが、接触の安定やスピードの伸びにつながっていた。
4. ビッグ3に共通する“動作の原理”
3種目に共通していたのは、 支点・重心・呼吸・速度の4つの原理だった。
| 原理 | 意味 | 重要なポイント |
|---|---|---|
| 支点 | 体を安定させる軸 | 肩甲骨・足裏 |
| 重心 | 力を伝える方向 | かかと寄り・背中側 |
| 呼吸 | 体幹を固定する | 吸って固める・吐いて動く |
| 速度 | 動作の質を決める | 速すぎず、一定のリズム |
この4つが整うと、重量は自然に伸びていった。 逆にどれかが崩れると、フォームも崩れていた。
5. ビッグ3は“筋トレ”ではなく“技術練習”だった
ベンチ・スクワット・懸垂は、 筋肉を鍛えるためのトレーニングではなく、 動作を磨くための技術練習だった。
フォームの質を上げることで、 筋力もパフォーマンスも同時に伸びていった。 重さを追うよりも、動きを整えることが最短ルートだった。
🟩 一般向けビッグ3フォーム練習メニュー
(フォーム習得に特化した“技術練習”メニュー)
1. ベンチプレス|肩甲骨と軌道を覚える練習

■ STEP1:肩甲骨セット(毎回の準備動作)
- ベンチに寝る
- 肩甲骨を寄せて背中をベンチに固定する
- 胸が自然に開く位置を作る
※ これができないとフォームが安定しなかった。
■ STEP2:バー軌道の確認(バーのみ or 20〜30kg)
- バーを乳首ラインに下ろす
- 肘の角度が一定になるように動かす
- 反動を使わず、ゆっくり下ろす
※ 軌道が安定すると、重量が自然に伸びていった。
■ STEP3:フォーム練習セット
- 5回 × 5セット(軽めの重量)
- 目的:軌道と肩甲骨の固定を体に覚えさせる
2. スクワット|足裏3点と重心を覚える練習
※図は懸垂とまとめて記載
■ STEP1:足裏3点の確認
- 母指球
- 小指球
- かかと
この3点で床を押す感覚を作る。
■ STEP2:重心ラインの練習(自重 or 20〜40kg)
- 重心は“かかと寄り”に置く
- つま先側に流れないようにする
- 背中を丸めず、胸を軽く張る
※ 重心が安定すると、膝や腰の負担が減った。
■ STEP3:フォーム練習セット
- 5回 × 5セット(軽め)
- 目的:重心と足裏の感覚を固める
3. 懸垂|背中で引く感覚を覚える練習

■ STEP1:肩甲骨の下制(ぶら下がり練習)
- バーにぶら下がる
- 肩をすくめず、肩甲骨を下げる
- 2〜3秒キープ × 5回
※ 背中で引くための“準備動作”だった。
■ STEP2:背中で引く懸垂(自重)
- クローズアンダー
- 反動なし
- 背中を縮める意識で引く
※ 腕ではなく背中で動かすことが重要だった。
■ STEP3:フォーム練習セット
目的:背中主導の動作を覚える
3〜5回 × 5セット
まとめ:動作の質がすべてだった
ビッグ3は「押す・支える・引く」という3つの動作を通して、 体の使い方を整えるための基礎だった。
フォームの質を磨くことが、 動ける体を作るための唯一の方法だった。


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