プロアスリートは、毎日限界まで追い込んでいる。
以前の私も、プロの世界に対してそんなイメージを持っていた。
しかし実際は、ただ練習量を増やせばいいわけではない。試合で最高の状態をつくるために、強度を上げる日、疲労を抜く日、身体と競技から距離を置く日まで、1週間のすべてを逆算している。
私は競技歴23年、プロとして8年間プレーしてきた。現在の体重は約90kg。この記事では、土曜日に試合があるシーズン中の1週間を例に、練習、ウエイトトレーニング、食事、睡眠、ケアをどう組み立てているのかを公開する。
私の1週間で最も大切にしているのは、すべての行動に意味を持たせることだ。追い込む日も、休む日も、土曜日の試合で力を出すためにある。
チームの予定、試合時間、出場時間、身体の状態によって内容は変わる。ここで紹介するのは、あくまで私が実践している基本形だ。
プロアスリートの1週間|まずは全体スケジュール
| 曜日 | 主な内容 | 1日の目的 |
|---|---|---|
| 日曜日 | オフ・軽いウォーキング | 心身を競技から離す |
| 月曜日 | 低強度練習・高強度ウエイト・ミーティング | 身体を再始動し、課題を整理する |
| 火曜日 | 高強度練習・高強度ウエイト・ミーティング | 1週間で最も大きな負荷をかける |
| 水曜日 | リカバリー・アクティブレスト・LSD | 動きながら疲労を抜く |
| 木曜日 | 高強度練習・瞬発系ウエイト | 競技強度とパワーを保つ |
| 金曜日 | 低強度練習・戦術確認 | 疲労を残さず試合準備を整える |
| 土曜日 | 試合 | 1週間準備した力を発揮する |
グラウンドでのチーム練習は基本的に約90分、ウエイトトレーニングは約60分。平日は7時に起きるが、リカバリー日の水曜日だけは9時ごろまで睡眠を取る。
この表だけを見ると、休みが少ないと感じるかもしれない。ただし、毎日同じ強度ではない。高強度と低強度をはっきり分けることが、長いシーズンを戦ううえで重要になる。
日曜日|競技から離れて心身を回復させる
試合翌日の日曜日は、基本的にオフだ。目覚ましはかけず、寝られるだけ寝るようにしている。
ただ、試合後は身体が疲れていてもアドレナリンが残っている。前日の夜に眠りが浅くなり、思ったより早く目が覚めることも多い。
オフの日に意識しているのは、競技から距離を置くことだ。身体だけでなく、精神的な疲労も抜かなければシーズンは続かない。
一方で、完全に何もせず一日中座っていると、私の場合は身体が固まり、逆に疲れを感じる。気分と身体の状態に合わせて、軽いウォーキングなどを取り入れている。
月曜日|低強度で再始動し、ウエイトで身体をつくる
月曜日は7時に起床。グラウンドでは低強度の練習を約90分行い、その後に約60分の高強度ウエイトトレーニングを行う。
ウエイトの中心は胸と下半身だ。試合直後にいきなり全力で走り込むのではなく、グラウンドでは負荷を抑えながら身体を動かし、ウエイトで必要な刺激を入れる。
月曜日はミーティングにも時間を使う。前の試合を振り返り、良かった部分と修正すべき部分を整理する。身体を動かすだけでなく、頭の中を次の試合へ切り替える日でもある。
火曜日|1週間で最もきつい高強度の日
火曜日は、1週間で最も負荷が高い。
グラウンドでは高強度のトレーニングを行い、走行距離も最も長くなる。さらにウエイトでは、背中、腕、体幹を高強度で鍛える。ミーティングもあるため、身体だけでなく一日の拘束時間も長い。
ここで中途半端に負荷を分散させず、必要なトレーニングをまとめて行う。土曜日の試合まで回復させる時間を確保できるからだ。
逆に、火曜日以外まで惰性で追い込み続ければ、試合当日に疲労を残す。強い練習をする能力と同じくらい、強度を落とす判断もプロには必要だと感じている。
水曜日|アクティブレストとLSDで疲労を抜く
水曜日はリカバリーの日だ。この日だけは9時ごろまで寝て、火曜日に受けた大きな負荷から回復する時間をつくる。
完全休養ではなく、LSDなどのアクティブレストを取り入れる。強度を抑えて身体を動かすことで、血流を促し、身体の重さを抜いていく感覚がある。
LSDの具体的な考え方や強度は、別の記事で詳しく紹介している。
木曜日|高強度の競技練習と瞬発系パワー
木曜日は再びグラウンドで高強度のトレーニングを行う。ただしウエイトは、月曜日や火曜日のように重い負荷をかけ続ける内容ではない。
低強度で、スピードや瞬発力を意識したパワー系の種目を中心に行う。目的は筋肉を疲れさせることではなく、試合に向けて素早く力を発揮できる状態を保つことだ。
同じ「ウエイトトレーニング」でも、曜日によって目的は違う。重量や回数だけを見るのではなく、試合までの日数と身体の反応を考えて内容を変えている。
金曜日|低強度で戦術を最終確認する
試合前日の金曜日は、低強度の練習と戦術の最終確認が中心になる。
この日に新しい能力を身につけようとはしない。動きと戦術を確認し、不安を減らして試合へ入れる状態をつくる。
食事や睡眠のルーティンも大きく変えない。特別なことを急に始めるより、いつも通りに過ごす方が身体も心も安定する。
ただし、水分と炭水化物は普段より多めに摂る。試合前後に実践している水分量とタイミングは、別の記事で詳しくまとめている。
土曜日|試合開始5時間前から準備する
土曜日は試合日。起床時間は固定せず、試合開始の約5時間前に起きるようにしている。
- 起床後に朝日を浴びる
- ストレッチと呼吸で身体を目覚めさせる
- 朝食を食べる
- ウォークスルーで動きと戦術を確認する
- シャワーを浴びる
- 試合前の食事を少し摂る
- 試合会場へ移動する
ここでも大切なのは、毎回ほぼ同じ流れをつくることだ。ルーティンが決まっていれば、試合前の余計な判断を減らし、プレーへ集中しやすくなる。
試合後はリカバリーミールを摂り、帰宅後も回復を最優先する。私が試合直後から翌朝まで何を食べているかは、別の記事で時系列にして公開している。
自主トレは毎日10分だけ|長さより目的を優先する
チーム練習後には、基礎スキルの自主トレを10分間行う。
自主トレは、長くやればやるほど良いわけではない。チーム練習で負荷を受けた後に、満足感だけを求めて長時間続ければ、疲労が増えて翌日の練習や試合へ影響する。
私は、その日に本当に必要なことを決め、集中して10分だけ行う。短く区切るからこそ、一つひとつの動作に意識を向けられる。
自主トレの価値は、使った時間ではなく、解決したかった課題に対して何を積み上げたかで決まる。
体重90kgを維持する1日の食事
練習量が多い1週間では、トレーニングだけでなく食事も仕事の一部になる。
| タイミング | 基本の内容 |
|---|---|
| 朝食 | プロテインスムージーとベーグル |
| 昼食 | タンパク質と炭水化物を多めに摂る |
| 補食 | プロテイン、脂質の少ない和菓子 |
| 夕食 | タンパク質を多めにし、炭水化物は昼より控える |
3食だけで必要量を無理に摂ろうとせず、補食でこまめに補うことを意識している。練習の合間でも摂りやすいプロテインや、脂質が少なく糖質を補給しやすい和菓子を選ぶことが多い。
普段使用しているのはDNSのホエイプロテインとクレアチンだ。プロテイン選びで迷う場合は、実際に飲んだ製品の比較も参考にしてほしい。
毎日のストレッチとメドマーで疲労を翌日に残さない
毎日欠かさないケアは、ストレッチとメドマーだ。
疲労が強い日は交代浴やサウナを追加し、必要に応じて専門家のトリートメントを受ける。疲れてから慌ててケアするのではなく、問題が大きくなる前に小さな回復を積み重ねる。
メドマーを8年間使って感じたことや、練習後の使い方は、別の記事で詳しく紹介している。
遠征時も基本は変えず、移動後のケアを増やす
アウェーや遠征でも、1週間の基本的な考え方は変えない。
ただし、移動時間が増えると同じ姿勢が続き、身体が固まりやすい。ホテルや移動先では、普段よりモビリティやストレッチに使う時間を増やして調整する。
環境が変わるたびに新しいことを試すのではなく、普段のルーティンをできるだけ持ち込む。変えなければならない部分と、変えない部分を分けることが大切だ。
プロ1年目に気づいた「体への投資」の重要性
プロになる前は、練習を頑張っていれば競技を続けられると思っていた。
しかし1年目に、それだけではこの世界で生き残れないと気づかされた。
身体のケア、食事、睡眠、道具、専門家のトリートメントには時間もお金もかかる。それでも自分の身体へ投資しなければ、良い状態で練習を積み重ねることも、試合で力を発揮することも難しい。
体への投資は、高価な物を何でも買うことではない。自分に何が必要かを考え、効果を感じるものへ優先的に時間とお金を使うことだ。
一般の人がプロの1週間から取り入れられる3つのこと
- 頑張る日と回復する日を分ける
毎日同じ強度で続けず、負荷をかけた翌日は強度を落とす。 - 短時間でも目的を決めて行う
自主トレや運動は、時間の長さより「今日は何を良くするか」を明確にする。 - 睡眠・食事・ケアまで予定に入れる
回復を余った時間に行うのではなく、トレーニングと同じように先に確保する。
仕事や家事がある人が、プロと同じ練習量をまねする必要はない。ただし、負荷と回復をセットで考える方法は、ダイエット、筋トレ、ランニングにも応用できる。
まとめ|すべての行動に意味を持たせる
私の1週間は、土曜日の試合から逆算して組み立てている。
- 火曜日に最も大きな負荷をかける
- 水曜日は動きながら回復する
- 金曜日はルーティンを崩さず試合へ備える
- 毎日の食事とケアで疲労を持ち越さない
- 自主トレは必要なことを10分だけ集中して行う
プロの生活には、練習だけでなく、睡眠、食事、回復、オフの過ごし方まで意味がある。
ただし、私のやり方が全員の正解ではない。競技、年齢、仕事、体格、生活環境によって最適な形は変わる。この記事をそのまままねするのではなく、自分の身体の反応を見ながら、自分に合った1週間を見つけてほしい。


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